フルCGは"かわいさ"が失われる
昔の特撮映画と、今のハリウッドのCG全開のマーベルスーパーヒーローものとかを見たら、何が違うのかと言うと、CG全開のほうが自由な絵が作れるんですよ。
本当に監督が思ったとおりの、自由な絵で作れる。
特撮の場合はミニチュアを作んなきゃいけないとか、合成しなきゃいけないから、すごい制限された構図の中で工夫しなきゃいけないんですね。
で、そのぶん、特撮映画のほうには手作り感っていうのかな。どんなにものすごい壮大な画面作っても、どっかに可愛さが出るんですね。
たとえば『エイリアン2』っていう映画で、ジェームズ・キャメロンが作った映画で、エイリアンたちが大量発生してる酸素発生機ですね。縦横各1キロメートルぐらいあって、高さも数百メートルぐらいあるような巨大プラントとか出てくるんですけど。そういうのも全部ミニチュアで作ってるし。
あと『ブレードランナー』に出てくる巨大なビルも、それもやっぱり1メートルかける1メートルぐらいのミニチュアで作ってるから、どんな壮大なものを作っても、しょせん可愛さ、愛嬌が出てくるんですね。
ところが、フルCGで作っちゃうと、その可愛さや愛嬌っていうのがどうやっても乗らない。限界を超えて細かく作れるから、その分、可愛さが乗っからないと。
で、『ラピュタ』はそういう意味で特撮的な、全部絵で描いて人間が手でやらなきゃいけないので、難しいことをやってもどっかに可愛さが残っている。
それが『千と千尋』以降、宮崎アニメっていうのは可愛さをちょっと失ってしまったところが魅力的には弱いところじゃないかなあ、というふうに僕は思ってますね。
そこらへんが『ラピュタ』の見どころだと思います。
https://youtu.be/kDmHMEd-84c?t=184